久しぶりの美術鑑賞
家から車で5分ほどのところに LACMA (Los Angeles County Museum of Art) という美術館がある。昨年秋頃からセザンヌとピサロの展示会が開催されていて、その名も「Cézanne and Pissarro」。その興味深い展覧会の主題もあって、ずっと気になっていたのだが、新年になってやっと行く機会に恵まれた。
実は 2002 年にフランスに行った際、プロヴァンス伯爵領の首都として栄えたエクス・アン・プロヴァンスでセザンヌのアトリエに行ったことがあり、それ以来セザンヌには親近感を持ってしまった。セザンヌは、偏屈な性格で有名な人。彼の絵にはほとんど人の姿が描かれていない。今回の展示会の面白いところは、セザンヌとピサロの絵左右に並べて楽しめること。同じ場所で描かれたピサロの絵には人間の姿が描かれ暖かさが感じられぬに対し、セザンヌの絵は風景に徹し余分なものは排除されている。力強く男性的な絵であり、何となく孤独感も感じられる。二人の絵を左右に並べて鑑賞できるこの展示会ならではの、楽しさではないだろうか。
ところで、エクスのアトリエで晩年の4年間をほぼ毎日過ごしたセザンヌだが、その間にアトリエに訪れた客の数がたったの12人だったという。あまり人好きではなかったようだ。そんな彼がピサロを師として、また友人として深く付き合っていたことは興味深い。
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